ミスコンシェルジュの頭の中

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ミスコンお兄さん(?)の思ったこと・感じたこと

推し事納めの儀 ~愛とはなにか〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

  今年はつくづく幸せな1年を過ごせた。まぎれもなくミスコンのおかげだ。まだまだ未熟者だがこれまでの人生で最も濃い年だったのだろう。なぜここまでやってこれたのか。数ある考えのなか一つの結論が出ている。だ。愛とは何かなんて議論は数え切れないほどされている。答えがないことこそ答えだという一つの証でもある愛という概念。このわかるようでわからないものを贈り、支えられてきたと私自身感じている。そこに一石投じたい。

 

 

 

 愛とはまず肉体の美を求め、次に内面の美を求める。最後にそこから現れる知識へと求め、真の美をそこに認めるというのがプラトンの『饗宴』で議論されている。肉体の美を求めるときくと生々しいようにも思える。だが外見や所作などといった全体的なものへの見方と考えれば私の中では合点がいった。内面を見ろとはよく巷できくのだが、外見から人を見る目は入るだろうと私は本質のように思えることが多い。

 

 

 恋愛及び愛の本質は良い狂気にあるという。狂気とは病の一種にも見えてしまうかのようなニュアンスがあるがここでは違っている。簡単に言ってしまうと善と悪を掌握していることが重要だという。プラトンの『パイドロス』にはその例えがある。2頭の馬を制する御者の話だ。一方の馬は理性的で節度がある良馬、もう一方の馬は勝手気ままで快楽的な悪馬。美を感じる出来事に遭遇すると悪馬が良馬と御者を良くない方へと誘う。だが美しさを改めて感じ御者が悪馬を制圧するというストーリーだ。良き狂気は皆が持っているものだと強く感じる。私も強い狂気を自分から感じ取れることが多々あるからだ。

 

 

攻撃

 動物行動学者のローレンツの『攻撃』には興味深いことが論じられている。親和性と攻撃性は表裏一体だというものだ。動物の中で子育て中の母親は通常の倍以上凶暴になるという調査結果のもので人間の母親も含まれる。

 

 

反射

 恋愛は過去にもとづいた条件反射という議論だ。皆さんはパブロフのイヌをご存知だろうか?イヌの唾液と胃液の分泌量変化の実験をしている際に給餌係が部屋へ入るだけでイヌの唾液腺が反応していることに気づいた。これで後天的な条件反射があることを偶然に発見したのだ。恋愛も同じでタダの刷り込みだというわけだ。平安時代の美人とはおかめ顔の太っている和歌の上手い女性のことだった。今ではどうだろう?

 

 

 心理学者のリーが恋愛に対する各々の態度を体現した6種類の類型を編み出した。リーの『愛の色彩理論』には愛の3つの原型が「エロス」・「ルダス」・「ストルゲ」と定められている。

 

 

エロス

「情熱的な恋愛」

相手の身体的魅力に強く反応し、一目惚れを起こしやすい。相手の全てを知り、全てを共有しようとする。相手から批判されると傷つき強烈な絶望に陥る。恋愛至上主義になりやすく、その理由は相手との共有意識がある

 

 

ルダス

「遊びの恋愛」

ラテン語のルダスはゲームの意味。相手との関係をゲームのように楽しみ、相手を次々と乗り換えていこうとする。相手に深く関わらず、複数の相手と付き合うこともできる。自分のプライバシーに踏み込まれることを嫌う一方で。相手を騙すことは平気。相手に執着しないため、独占欲が嫉妬心を示さない。

 

 

ストルゲ

「友情の恋愛」

ギリシャ語のストルゲは家族愛の意味。家族が長い時間をかけて愛情を育むように、相手との間に友情のように穏やかで親密な関係を築くこと。恋人というよりも、相手に仲間意識に近い感覚を持つ。お互いに家族的な忠誠心や責任感を抱き、友達関係から進展して恋人になるのが典型的な事例

 

三原色の他に二次的な原型もある。

 

プラグマ

「実用的な恋愛」

ギリシャ語のプラグマは事実・重要事項の意味。相手との関係を自分の目標達成の手段の一つと考える。計算高く、自分が社会的に承認されたい、あるいは高い地位に就くための目的に沿って相手を選ぼうとする。

 

 

アガペ

「愛他的な恋愛」

ギリシャ語のアガペは自己犠牲的な愛の意味。キリスト教では、神の人間に対する無償の愛と解釈されるようになる。忍耐強く忠実に相手の要求を理解し、相手の利益を第1に考えて行動する。自らの犠牲をいとわず、見返りを求めない献身的な愛情を指す。

 

 

マニア

「偏執的な恋愛」

ギリシャ語のマニアは狂気・熱狂の意味。病的な愛とも呼ばれる。相手に強迫的あるいは依存的にのめり込み、相手の愛情を何度でも確かめたがる躁状態が続く。相手に対する独占をが強く、嫉妬深くなる。自分の感情が満たされれば、強烈な快楽、満たされなければ、強烈な苦痛が交互に現れる。

 

こんなにも厳密に定義されたものを見た時私は知的興奮を抑えられなかった。やはり学問はやめられない。心理学者のヘンドリックが6類型の恋愛尺度を測定する質問表を作っているがここでは割愛する。是非とも本で読んで欲しい(下記掲載)。私は大学の授業中に偏差値を出したがアガペ67.5を叩き出し、アガペ界では早慶レベルらしい(?)

 

あなたはどの型にあてはまるだろう?

 

 

 

意志

心理学者のペックは恋愛意志論というものを説いた。

本当の愛が始まるのは、恋から醒めたときである

付き合いが長くなると幻想は終わり現実が見える。そうなったとき本当に終わることが多い。本当の愛の作業というのは意志による選択だと彼は述べる。

本当の愛は、愛の感情の欠けている状況で、つまり愛している感じがないにも関わらず、愛を持って振る舞う時にしばしば生じる

 

愛の感情のあるに越したことはないだがない場合にも愛の関与、愛の意志はなお存在し働いている

 

つくづく深い言葉だと思わされる。結婚生活とはこういうものかもしれない。

 

 

おわりに

 愛は人によりけりだと感じる年だった。最後に私の好きな言葉を置く。

 

愛は忍耐強い。愛は情け深い。妬まない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。
 
愛は決して滅びない。″  

コリント書 第13章より。

 

 

参考文献

プラトン 著、久保勉 訳『饗宴』岩波書店

プラトン 著、藤沢令夫 訳『パイドロス岩波書店

高橋昌一郎 著『愛の論理学』角川新書

・平原卓 著『読まずに死ねない哲学名著50冊』フォレスト出版

 

 

※引用部分は『愛の論理学』より引用